2012年09月

2012年09月16日

異国における本当の恐ろしさ



先日、今年10月26日公開予定のある映画の試写会に行った。
その映画の題名は、

「アルゴ」

知らないでしょ?
僕も、なんの期待もせず、試写室に座ったのだけれど、

こ〜れが、クソヤバかった!

(あ、クソとか失礼。)

観ている途中で、もうその圧迫感に耐えられなくて
座席の上で、何度も座るポジションを変えて
身もだえていた自分を鮮明に記憶しています。

監督/主演は、「ザ・タウン」とか
近頃ヤバい「ベン=アフレック」。

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1997年に、米国のクリントン大統領が
「機密扱いを解除」した、前代未聞の人質救出劇が
その元ネタになっている。つまり実話。

1979年11月のイラン。

アメリカを敵対視するイラン国民の民衆デモが、
やがて暴徒化し、アメリカ大使館になだれ込む
緊迫のシーンからこの映画は始まります。

やがて大使館職員全員が「イランにいる米国のスパイ」
という容疑で、監禁・拘束されてしまうのだけれど、
6名の大使館員が裏口から逃走します。

これを境に、イラン国内では、
アメリカ人はすべて「スパイ」とされ、
街中でも「公開処刑」されるという恐怖が現実として
映し出されます。

その6名を、秘密裏にイランから出国させる
作戦をまかせられる「トニー」という実在の人物が
主人公なのですが、この作戦が凄い。


ウソの映画を企画し、
6人をロケハンにきたカナダ人の撮影スタッフに
仕立て上げ、出国させる。



はい。
これ実話です。

実際に、大物のプロデューサーや脚本家が協力し、

SF超大作「アルゴ」

という映画の制作発表が本気で行われます。
アメリカ国民も欺いて、実行されたこの作戦。


あとは映画を観てください。

バレたら拷問で公開処刑。

という切迫した状況で、イランのひげ面の
空港の入国審査員や、街のあやしい男達や
ペルシャ語でまくしたてて、ボロをださせようとする
軍人など、全員超超怖い。


もう後半は、ドキドキして、
口から心臓が出そうになります:笑!



日本という安全な柵を越えて、海外を旅することは、
非常に刺激的で、どんどん旅に出たい衝動に
かられます。旅は楽しい。


けど、
全く言葉もわからず、
その国や街の状況がわからない状況下で
非常事態にまきこまれ、
拘束され、暴力を振るわれ、監禁され・・・
という恐怖は、常にありますよね。

20年程前、タイのプーケット島に友人と行き、
早朝から大型バイクをレンタルして、島の奥深くまで
ツーリングに行きました。

すると、ふたりの制服警官にとめられ、
バイクから降ろされ、バイクを警棒でコツコツ
たたきながら、全くわからないタイ語で
質問らしきことをされたことがあります。
腰にはデカイリボルバーと、手錠。

それをスリスリ触りながら、
ずっと質問してくる。

で、手を出すから、

「盗んでいない。証明書もある」

という意味を、我々は英語とかでしゃべりながら、
書類渡すが、なかなか解放してくれない。

結局、ずっと手を出してくる二人に
100バーツかなんかを渡したら、
親指で「グー」ってされて、どっか行きやがりました。



よくある話だけど、
その時の緊張感って、想像つきませんか?


他にも、上海に行った時、男性3人で、
いかがわしくない(マジで!笑)サウナに行った時、
一時間くらい待合室に足止めされ、突然、
袖に「公安」ってかいてある角刈りの男に、
怒鳴りつけられて質問された。
もちろん意味はわからん。

こん時は、さすがに少し覚悟するくらい緊張した。


異国では、限りなく無力。

人の権利とか、
常識とか、一瞬でどうにでもなってしまう。

・・・そんな、緊張感と恐怖を
見事にエンターテイメントに仕上げてある
この「アルゴ」は、コヤナギ的に、超おすすめです。

・・・・と、
平和にブログW終わろうとおもったけど、


けさ、大分市で買った朝刊で、愕然とした。

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ニュースでは、
日本人に熱湯のラーメンをかけたとか、
日本の百貨店、トヨタやパナソニックが壊され、
放火されて、めちゃくちゃに蹂躙されてる。
日本領事館の車が襲われ、日の丸を強奪されて、
それに対する謝罪どころか、返還もない。


「アルゴ」の冒頭シーンが、
完璧なデジャヴで襲ってきた。



歴史は繰り返す?

そういうのはどうでもいいけど、
人間の群集心理と、
「愛国無罪」的なきな臭い煽動は、
間違いなく行く末は、「アルゴ」の中の「イラン」だ。


僕は、あんな緊張感は、
映画的エンターテイメントだけで十分だ・・・。

いやな、流れですな。



cromagnon69 at 19:27|PermalinkComments(0)TrackBack(0) お仕事の記憶 | 日常インサイト

2012年09月12日

スーパーミーハー。



おつかれさまです。

ほぼ一ヶ月ぶりの更新「クロマニヨン・コヤナギのブログ」


すごいよ。あんた。


Facebookに軽くあげる癖がつくと、
ブログには、相当凄い内容をあげあいと駄目だ!的な
プレッシャーがつきまといます。うむ・・・ 




ちょっと前になりますが・・・って、

もう7月11日の話なのですが、

福岡に居ながら「ヂカ」に話を「キク」イベント


「ヂカギキ」のVolume.12  


を開催しました。 
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今回も、120名パンパンのソールドアウト。
ありがたい。
お題目は、「3秒で場をつかむ技術」。

20年あまり、生き馬の目を抜き、さらに焼いて食う!

ぐらい熾烈だと予想される、テレビのバラエティ番組の
放送作家として、第一線をはってきた「元祖爆笑王」
さんに、話をしてもらいました。

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まあ、ちょいと時間も経っているのですが、
詳しい内容は「ヂカギキ」を聞き逃した・・・
または聞いたけど、再度聞きたい!人に贈るサイト
「マタギキ」に余すところなく記録されています!!

文字で読んでも、十分伝わります!ぜひ!!!

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アジアンビート「マタギキ」

元祖爆笑王さんの話を聞いて以来、
人との話題に困りそうになったら、

「テキドニセイリシ」

を思い出しとります(笑)。



そういう刺激をあいかわらず受けつつも、
仕事は、近頃ますます多忙になり、なかなか昔みたく
本を読みまくる!ってことがしにくくなってますが、
近頃の僕的ヒットは、これ!

meehaa















ほら、笑わない!そこ!(笑)



トランジットの中村さんの近著なんですが、
これまた、潔いです。

もう、僕に向けた本だと・・・・。


中村さんという方は、
世界一の朝食「bills」や、
「グッチカフェ」「メルセデスベンツコネクション」等の
ブランドカフェのプロデュース。
デザインホテルの先駆け「CLASKA」ほか、
おびただしい数の「かっちょいい」仕事を
しかけてきた人です。


で、この本・・・

何をやっても長続きしなかった、中村氏が、
「自分はスペシャリストになれない」ことを
ひどくコンプレックスに感じる・・・という告白から
この本は始まります。

おもしろそうなことに、次々に手を出す。
けど、どれも極めるところまで行かない・・。
けど、一緒にやってた友人は、その一つのことを
ずっと続けて、音楽で成功したり、スポーツ界で活躍したり
というのを見ながら、中村氏は思い悩む・・・。

色々、興味を持つから、知識は沢山あるけど・・・

けど、ある日中村氏は、

「とりあえず、いろんなことを知っている僕が、
 何かと頼りにされてる・・・・」


ということに、気付いた時から、運命が変わる。


ミーハーは、武器だと。


スペシャリスト達は、自分の分野以外の情報には
疎かったりする。

しかし、ミーハーは、様々なジャンルの情報や
現在の流行を知っていて、同時に、様々なジャンルの
スペシャリスト達と友人だったりする。

その「立ち位置」を、武器だと自覚し、
それまでコンプレックスだった「ミーハー」な自分を
最大限に活かして、多くのコラボレーションや、
プロデュースを実現するに至った道のりが書いてあります。


ほら、そこの広告マン?

あ、おれ、そのタイプかもって、
ちょっとは、かすってない????笑



で、この中村氏の言葉でさらに面白いのは、

「スーパーミーハー」まで登り詰めろと。

単なるミーハーでは、突出する才能にはなれない。
徹底的に「ミーハー」を極めろと。

そうすることは、何を引き起こすかというと、
様々な時代の先端を、結果、リアルタイムで感じ
続けていくことになると。


なるほどな〜。

中村さんは、この本の中で、
マイケル=ジャクソンやホイットニー=ヒューストンの
来日ライブに、ミーハーだからこそ行ったと言ってる。
ご存知の通り、この二人のライブは
我々は永久に見る事はできない。

ミーハー心で、様々な価値を受け入れること
=「スーパーミーハー」という生き方は、
その時代の才能とともに生きる事だと。


我々が生きるこの時代。
今や、完全な、

クロスボーダーであり、
クロスカルチャーである。

そんな世界に生きている。

そんな中で
我々、広告マンはもとより、
多くの会社の企画担当や、
行政の政策を決める人や、
「何か」をやろうとする人は、


「スーパーミーハー」


という概念はバカにできないと思う。

なんども言うように「スーパーミーハー」は
生半可ではなれないようだ。
好き嫌いではなく、もうとどまることなき、
好奇心を養い続け、そして「リアル」にこだわり
抜けた人こそが、到達できる。

そういう人が、プロデューサーになれる。

そういう人は、ジャンルが全く違う、
つまり「クロスカルチャー」なコラボレーションを
発想し、実現することが出来るはずだ。



僕は、一年前に「BOND」を立ち上げて
雑誌作っては、おもろそうなイベントをする・・・
ということを繰り返してきた。

「能とBOND」をやると決めた時、
知人に「やっぱ、ミーハーはなんでもありやね」
と言われた。ちょっと、痛かったけど、
この本を読んで、完全に開き直れた(笑)。

そうだったから、
能楽師の塩津くんとも友人になれたのだと思うしね。




蛇足をさらに記せば、

福岡って、こうなったら「スーパーミーハー」都市に
なったらどうですかね??


熱しやすく冷めやすい。
東京で認められたものを、急に誇り出す。
なんやかんや言ってても、
東京の流行ものが来ると、とりあえず行く。

ミーハーです(笑)。


ものすごい重厚な時間の中で伝わって来た
「博多手一本」も、
山笠に出てないくせに、それらしく皆でやると、
なんか、うれしいあの気分も多分、ミーハーです。


福岡という街は、

様々な時代の変化や、流行に、いまよりもっともっと
ミーハーにどん欲に敏感になっていって、

東京(日本)の文化と、
アジアをはじめ海外の文化の両方を、
スーパーミーハーに
「どんどんかかわって」
「どこよりも早く取り入れて」
っていうことやっていけば、

そのうち、混沌とした後に、
リアルに、クロスカルチャーの
舞台になれるかも?ってこのごろ思います。


どうすかね?

スペシャリストの価値はいつの時代も
変わらないでしょう。

それに対し、ミーハーっていう言葉は、
ネガティブな感じで、ずっと使われてきましたよね。

けど、中村さんの本読んで、
そんで、今の仕事とかしながら、色々考えていると
「なんでも、首突っ込むのが好き」な
好奇心止められない野郎は、
迷わず突き進んでいいのでは?
って思います。



あ、それって、結局


ミーハーのスペシャリストってことか?

とりあえず、ミーハーバンザイ:笑。



中村貞裕式 ミーハー仕事術








中村貞裕式 ミーハー仕事術

著者:中村 貞裕
販売元:ディスカヴァー・トゥエンティワン
(2012-07-14)








cromagnon69 at 22:27|PermalinkComments(2)TrackBack(0) くだらねぇこと | 日常インサイト
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