2011年05月02日

名前は覚えられないけど凄いブランド。



GW前半。

我が愛しの故郷。

マイスイート”ゴッサム”シティ
大牟田に帰郷した。


その帰郷では、親戚中が我が実家の広大な庭園(ただの庭)に
集結する大バーベキュー大会が催されたのだが、
ここに、福岡から帰省する自分としては、

”パンチの効いた”土産

を持参せねばならない。
という脅迫観念が働いた。


そこで、買いに行ったのがこれだ。

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ガトーフェスタ・ハラダ社製
”グーテ デ ロア”


誰かの目を忍ぶように、開店前の博多阪急の地下に
30分程行列。

そして、10時の開店後、
大人の行動を!とは思いながらも、

大量の人がなだれ込む!



沢山のお店のお姉さんたちが、
これ以上笑えねぇ!位の笑顔で

「いらっしゃいませ〜!」


と出迎えるが、並び客の99%は、


堂島ロールと

グーテ・デ・ロア


に猛進していく。


「私は大人だから、無茶に急いだりはしない」


という、ギリギリの理性が、


早歩き。


という、霊長の中で、おそらく人間しか醸し出せない
であろう、こっけいな歩行方法を、全員がとっていたが、
その理性が、ついに決壊する光景を、皆が目にした。



1Fに並んでいた客どもが、
エスカレーターを2段降りして
おしよせて来ていたのだ!


チィィッ!
貴様ら、
そういう戦略かぁぁぁ!


と思い、全力疾走はしないが、少し走る・・・
みたいな、百貨店の中でしかやらない
わけがわからない急ぎ方で、店の前へ。



しかし・・

ガトーフェスタ・ハラダの職員は、
慣れていた。


押し寄せてくる群衆を、
我が店の、整列ラインに鮮やかに流し込んで行く。


おいらも流し込まれたが、
すでに、L字行列の曲がった先だった。


待つこと、40分。


ついに、買うことができたのであるが、
その間、僕はずっと考えていた。



なぜ、売れるのか?

どのくらい、売り上げているのか?

人気の秘密は何なのか?







だいたいね、名前ですよ。



「GOUTER  de ROI」


ゴウターデロイ?


いや、グーテ デ ロア=「王様のおやつ」の意味。



まぁじで、
なんて読むのか・・・・













いっちょん覚えきらんバイ!
(ちっとも覚えられない)



ですよね:笑。



マーケティング・ブランディングにおける鉄則その1
「覚えやすく、ゴロがいいネーミングのこと!」


もはや、
全く関係なし。




そして、自問してみる。

なぜ、大の男40代が、70分という人生の時間を費やしてまで
買い求めようと思うのか?


答えはこれだ。

このお菓子を
”手に入れし者”として、
なんか偉い気がする。



もはや、これだ。
もう、ここにはマーケティング調査で出てくる、
様々な理由は全く出てこない。


マーケティング・ブランディングにおける鉄則その2
「共感し、人に話したくなる物語がある!」


確かに、ガトーフェスタハラダさんには、
群馬に根をはり、50年もパンを研究して・・・という、
立派な「ストーリー」があるのだが、

そんな、物語なんざぁ、
ここまで「理性ギリギリに早歩き」で
ならびにきた、おばちゃん達は気にしていない。


そして、2枚入13袋(26枚)入で、945円を
平気で8袋とか買って、ガンガンC万(古!)札を
切りまくるのだ。




ストーリーに関して
強いて言えば、


今、僕が書いている

「買うのが大変なんだぜ!」ストーリー

これが、今のこのお菓子を
スーパーブランド化させているストーリーではないか?



確かに、最初は誰も知らない。

しかし、50年間も研究していきついた、
フランスパンの究極奥義は、非常においしく人気が出た。

群馬から東京の、熱狂的なファンが、
いつもいつも買っていたであろう流れの中で、
テレビや雑誌に加え、
インターネットが出現する。

これにより、九州の人も
高崎のスズラン百貨店にある、ラスクが
壮絶においしくて、人気があることを有名無名の人々の
リアルなブログなんかで知り始める・・・。

通販は始まっているが、
この世で、12店舗の直営店と、
たま〜に開催される特別販売の場でしか買えない
このラスクは、希少性とともに一度は食べたいという
期待をあおって行く。


そして、博多阪急に出店された。



だいたい、群馬のお菓子だ。

福岡のものじゃないものを
お土産として買って行こうと
必死で並ぶという不条理。

これを肯定する力があると考えると
相当凄い。





今回、大牟田に持ち帰り、
アラセブン(70代ね)の母親に、


「買うの大変なんだぜ!ストーリー」

を交えて、少しドヤ顔で、このお菓子を渡す。



「あら〜、そんなに手に入らんとたいね〜。
 ん〜、これは、おいしかぁ〜」



と、感慨深げである。



これが、

お土産効果の、究極だと実感した。


もらう方も、渡した方も幸せを実感できるもの。




おそらく、

我が両親は一生、
「グーテ デ ロア」という名前を
覚えることはないと思うが、

もはや関係ない。


超越したブランドは、
いろんなプラスのスパイラルで
さらに強くなって行くのだと思った。



もっと、いろんなことが
頭に渦巻いたけど、
書くと当たり前のことになっちゃいました。

この試行錯誤を、
自分の仕事に活かすためには
どこを切り取ればいいのか・・・・



まあいいか。


GWの残り楽しんでくださ〜い!









cromagnon69 at 18:41|PermalinkComments(3)TrackBack(0)
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小柳 俊郎