村上龍

2015年10月23日

老人たちの暴走。


先日の週末。

午前中の用事を済ませに、車で高宮通りを走っていた。
薬院六つ角を左折するつもりだったので、左車線を走っていた。
しかし、運悪く僕の走る左側車線に、宅配トラックが停まっていたのだ。
そこでは、大きな荷物をお兄ちゃんが下ろしている最中だった。

週末もお仕事大変だな〜とか思いながら、
止むを得ず、トラックの後ろに車を停車。
右車線へと、避けるタイミングを待っていた。

すると、ちょうど右車線の車間距離が空いた。
いけるなって判断して、
僕はウインカーをつけながら車を出そうとしたのだが、

その瞬間!

ちょっと距離がある後方から、シルバーの小型国産車が

「ビビビビビーーーー!!!」

と”押しっぱなしクラクション”を、ボクに浴びせかけながら、

しかも、明らかに加速してきたのだ!

貴様なぞ、絶対入れてたまるか!!!
の意志に溢れた、ものすごい加速だ。

僕は、完全にブチ切れて、
ジェイソン=ステイタム時代の「トランスポーター」並みの
ハンドルさばきで、

img_2
 注:写真はイメージです。

その小型国産車の横っ面に車をぶち当て、
その車を、対向車線の向こうの建物まで弾き飛ばして、
見事、大破させてやった!

61985_3
 注:写真はイメージです




・・・というのは嘘で、

そういう妄想をグッとこらえて、
あわてて発進を取りやめブレーキで車を固定した。

怒りより、ガッカリな気持ちを抱きながら、
その小型国産車が通りすぎる時に、
どんなヤンキー野郎か、この目で見定めてやるぜ!

と、大牟田仕込みの「メンチ切り」で通過を待っていると、
その運転していた「男」は、運転席のガラスの向こうで、

「バ・カ・ヤ・ロー!」

と誰でも、読唇できるような形相で、
俺に叫んで通過していった。

そして、僕は、呆然とした。

なぜなら、その乱暴極まりない男は、
その、大人気ないこと、極まりない男は、


明らかに70歳を超えてるような
老人だったからだ!



いや、確かに、

昔見ていた「日本昔ばなし」には、
自分だけ得をしようとする「嘘つき爺さん」や「強欲爺さん」は
確かに登場していたし、
勧善懲悪の時代劇でも、ジジイの悪代官が悪事を尽くす・・・
というのも見てきた。

しかし、一般的に「なめんじゃねぇぞ!」的な感じで、
こういうブチ切れ行為をするのは、若者と相場は決まっていた。

しかし、近頃、どうも違う気がすると思っていたら、
こんなデータを見つけた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2015年上半期の刑法犯摘発者数(警察庁調査)
14〜19歳:19,670人
65歳以上 :23,656人

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

少年犯罪よりも、老人犯罪が多いやんけ!

これは、年齢層別の摘発者統計を取り始めた
1989年以降、初めて10代を上回ったそうだ。
しかも、4000人も!!!
しかも、しかも、殺人などの老人凶悪犯は前年比10.8%増だそうだ。


そういえば、今年。
7月に青森で、兄弟喧嘩で口論になり、チェーンソー(!)を
持ち出してきた70歳の兄を、
66歳の弟が、ナタで切りつけ殺してしまった。

8月に大分の老人ホームで、口論になって、
86歳の男性が、80歳の男性を刺し殺した。

先月、北九州の八幡で、86歳の男性が、
76歳の知人の顔に「塩酸」をぶっかけた。

いや、このブログ書こうと思って、いろいろ検索したら、
他にも物凄くたくさんあって、めちゃくちゃ怖くなった。



いろいろな分析がされていたけど、
今の65歳以上の方々は、間違いなく終身雇用の恩恵で
現役を終えた方々だろうと思う。

ほとんどが、
「会社」に生活を守られ、
「肩書き」に自尊心を守られてきた。


そのまま、退職金と年金で、大往生できた時代は
それで幸せだったかもしれないが、
今の時代、すべてのルールが、一気に変わってしまった。

我々、中堅現役世代や若者世代は、
もちろん先行きの見えない時代で、不安はいっぱいだ。

けど、まだイノベーションしようと努力できる。
なぜならまだ、活躍できる「社会の場」があるから。

しかし、今の老年層の多くは、その現役時代が
バブルも含めて、あまりにも華やかだったために、
「俺は、まだいける!」
と思ってるけど、現実は全然イケてない・・・
活躍できる場や、機会が社会の変化でなくなってしまっている。

・・・というギャップに「不満やストレスが鬱積している」
という人が、どんどん増加しているんだろうと。
もしかしたら、日本が始まって以来、
苦しく、やるせない気持ちの老人の割合が
最も多い時代なのかなと、勝手に思ってしまう。


自分は、もう46歳だ。
あと、20年もすれば、いわゆる老人。

そして、その頃は、3人に1人が65歳の老人という時代だ。

自分が現役世代に、社会の大イノベーションが次々に
起こっている時代を通過できることは、幸運なのかもしれないと思う。

会社に依存せず、肩書きに依存せず、
自分の能力とか、行動力とか、発信で自分を確立しておくことが、これから先、大切なんだぜ!


っていう、社会の警鐘のような気がしてなりません。


今年の夏、ちょうどこの本を読みました。

写真 (1)
 
村上 龍『オールド・テロリスト 』


こいつ、どんだけ、村上龍が好きやねん!
という感じですが、書き下ろしの新刊なんで、即買いしました。

衝撃的な内容です。

2018年。「腐りきった日本を、一度リセットする」
という理念で、圧倒的な権力、財力、知力を持つ老人たちが、
冷徹に、次々にテロを繰り広げるという、
切なく、そしてものすごく怖い内容。
村上龍さんも、時代を感じての執筆だったのかなと。

希望を失い、生きる意欲も失った若者たち。
一方、権力も財力も知力をもった老人たち。
そこに共通するのは、社会から必要とされていないという自覚と絶望。

そんな言葉が踊っていました。

で、この本を読んだ直後に、70代の男性が
新幹線の車内で焼身自殺をする事件がおきたりして、
ビジネスやテクノロジー以上に、
人間が生きる事自体にも、今までの日本の常識が
通用しないようになってきてる気がします。

この国を、潰さないでいいような生き方をしなきゃですね。
そんな、歳の重ね方をしなきゃですね。





オールド・テロリスト
村上 龍
文藝春秋
2015-06-26







cromagnon69 at 23:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2011年04月15日

歌うクジラ



2001年9月11日に
アメリカでおこった同時多発テロは、

「911」

として、世界中に記憶されることとなったが、
今回の、東日本大震災は、

「311」

として僕らの記憶に残ると思う。


その前日。

3月10日の深夜。正確には3月11日の午前2時ごろ
読了した本がこれ。



歌うクジラ 上歌うクジラ 上
著者:村上 龍
販売元:講談社
(2010-10-21)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る
 
歌うクジラ 下歌うクジラ 下
著者:村上 龍
販売元:講談社
(2010-10-21)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る


2022年のクリスマスイブ。ハワイの海底で、
グレゴリオ聖歌の旋律を正確に歌う、
ザトウクジラが発見される。

細胞を分析した結果、驚くべきことに
そのクジラの年齢は、1400年であることが
判明する。

そして、その細胞を解析することにより
ついに人類は、不老不死の遺伝子を特定する。
その遺伝子は「Singing Whale=歌うクジラ」と呼ばれ、
人類は「命の長さ」を操る時代を迎える。



・・・という、なんとも村上龍さんの作品らしい、
たまらない設定です。
そして、この小説の舞台は、さらにその100年後の世界。


人間は、この「SW遺伝子」と「驚異的なテクノロジーの進化」
をもって、ついに「理想社会」を実現しているのだけれど、

この「理想社会」とは、
人間を「階層」に区別し、「徹底的な棲み分け」を実現
させている社会。


「最上層」「上層」「中間層」「下層」「最下層」。


下の層には、「上がある」ことを知らせず
「こういうものだ」ということを子供のころから
刷り込んでいき、上層の人々のために生産活動して
一生を終わらせれば、何の不満もない世界になる。

最上の層には、「下がある」ことで
不満をなくし、圧倒的な特権を与える。


そして、そのシステムへの叛乱には、
圧倒的な管理テクノロジーのもと
「容赦のない」管理が行われている。


結果、そこには、全く軋轢も摩擦もなく
トラブルもない(というか起こせない)。
まさに、「理想社会」がある。

この小説は、

主人公である、一人の「最下層」の少年アキラが、
ある「重要な情報」を持って、
全ての「層」を通過して、
「最上層」まで運んでいくまでの物語だ。

日本人の未来と、
日本人の幸せと、
そして、
人間が「生きる」意味を、
真っ正面から投げつけられた作品だった。


様々な分野の「テクノロジー」が圧倒的に進み、
命の長さまでも操るまでになった人類が
「理想社会」を追求すれば追求するほど、
異常で、グロテスクなことが沢山おこる世界
なっていっている様は、

現在の社会にも、その兆しが見えている気がして
ゾッとした。




そこに、東日本大震災がおこった。


すべての生活技術は流され、
人類が最も効率的に電気を作る技術が暴走し、
国全体を危うくしている現実。

「結局、自然が最強で
 人類は、自然と共有していくべきだ!」

という感じのことを、
わざわざここで書きたいのではない。


東北で、被災された方々の日常。

特に子供たち。

今まで、
野球選手や看護婦さんだった、
将来の目標が、

この日を境に

「まずは、生き延びること」

になった。 




昨日、全国経済同友会セミナー
「緊急日本復興会議」

というイベントに参加してみた。

DSC07953















全国から1200名あまりの経営者や会社役員クラスの
方々が揃う中で、
基調講演で出演された、大前研一さんの
毒舌あふれる「真実」のリポートは面白かった。

中でも、

「この震災と、その影響を機会に、
 江戸時代や、明治時代から続くシステムから
 脱却して、国を新しいものにしていき、
 日本の生きる道を今こそ模索すべき」


というテーマのもと、
具体的な例をあげて話をされた内容が、
とっても、今の心境に沁みわたった。

例えば、
明治時代の「戸籍法」はそのまま運用されており
この時代にも、デジタルでの戸籍のデータベースが無い・・・・
とか、
「競争力がない産業が補助金で延命されて、超非効率な
 ことになってる」とか・・・・何十項目もあった。



社会のシステム。


「そういうもんだ」
「仕方ない」

そういう感じで、受け入れてしまう「システム」。


その「システム」のせいで、
国が、凄くなったり、落ち目になったり、
もっと言えば、人間の「種類」も違うものに
なったりしていく。


今は、
助け合おう!
支え合おう!

という人間が本能的に持つ「思いやり」の
精神が、復興を後押ししているけれど、

どっかで、

政治的なシステム

が必要になってくるのは、絶対。


そのシステムが、

10年後・30年後・100年後の

日本人を凄いものにして、
皆が幸せになるようなシステムなのかを

残念ながら、
今の時点で、


僕らは「確信」できない。




3月10日の夜。
自分にとってのエンターテイメント
として呼んだ、
村上龍さんの「歌うクジラ」。

思い返すと、凄くリアルで、
今は読み返そうとは思わない。



なぜなら、
今回の震災後、


政治家や科学者や官僚や東電社員などじゃなくても、
政治や社会や生活や原発の

様々なものの「システム」を
根こそぎ考えなければいけない


という、

今までに、おかれたことがない
きつく不安な精神状況になっているからだと思った。










cromagnon69 at 17:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
livedoor プロフィール
Amazonライブリンク