SIBRECO

2015年12月22日

最新型「レコードプレイヤー」が見せる「最新の価値」


やられたなぁ…

また、そう思った。

昔、5000台限定のシリアル番号付き限定販売の携帯電話に、なんとかして、6万円を払った時にも同じことを思った。















その気持ちを、また蘇られせてくれたのは、皮肉にもこの6万円の携帯電話を出した『amadana』だった。

僕のfbにも、ちょくちょく登場する同社の社長の熊本さんとランチしたのは、今年の4月。

「また、コヤナギさん世代が、たまらんもんを出すプロジェクトを進めてます!」

と雑談混じりに聞いて、すっげぇ気になっていたのですが、
それがこのことだったのか!と思ったのは、その数ヶ月後。
クラウドファンディングに立ち上がったのは、
「アマダナミュージック」という プロジェクト名を冠した
アナログレコードプレイヤーだった。 

27

「Makuake」に立ち上げられたプロジェクトは、
目標150万円に対して、1,400万円以上を集めた。


もちろん、僕は申し込んだ!

思わず、カラダが勝手に反応した・・・

中学生のときに、友達と貸借りしたり、
レンタルしたりしてたのは、
レコードだった。

「ジャーニー」「オフコース」「大沢誉志幸」「ラウドネス」「松田聖子」・・・

買ったり借りたりして、なんでもレコード版に乗せて聴きまくっていた。
それを、SONY 「BHF」カセットテープに録音していた!!
それが、友人たちとのネットワークを築く武器であり、共感の源だった。

その後、CDが席巻し、MDなるものも出たりして、アナログレコードは、
DJの人が重いバックに入れて持ち歩くもの。
という「カルチャーの遺産」となってしまった。
 
 
なのに、なぜ2016年の今。
なぜ、どんな曲でもどっからかもってこれるという時代に、

amadanaは、アナログレコーダーを出すんだ!?
そして、
僕はなぜ即座に「ポチっ」とやってしまったんだろう? 

そんなことを考えていた今月のある日。それは来た。


IMG_8761

ワクワクした。男子の幸福感ここに極まれりな瞬間だ。

IMG_8795

ミニマムだ。シンプルだ。

IMG_8995

このアングルで写真を撮りたくなる気持ちは
あなたも手にすればわかると思う。


そして、このプレーヤーは、昔のように、

当時の、床の間にデカイスーピーカーと一緒にあったそれや、
オーディオ好きな方のそれと違い、
これだけで完結するプレーヤーだ。

IMG_8768


足が、スピーカー!

後ろには、これだけ。

IMG_8769

しかも、税込:16200円!!というお手頃感!!!!




”アナログレコードプレーヤーを出す”

という発想は、これまでのマスマーケティングセオリーではでてこなかったと思う。


沢山作って、沢山売る!それがメーカーの使命だった。

一流のタレントがCMに出る。
かっこよく見せる。
「数値性能」の高さを訴求しまくる。
ひたすら安くてお得だと言う。


ほんの少し前まで・・・
少なくとも、僕が12年前に広告会社に転職したころは
まだまだこの方法論は、すたれ気味とはいえ「アリ」だった。

しかし、み〜んなわかってるように、
それだけでは、もはや売れなくなった。

一般人もタレントになってるし、
なんでもかんでも「かっこいい」し、
どこの製品も人間の対応レベルの進化は行きまくってるし、
効率的に安くは、どこもやれるようになった。


絶対にこういう話をするときに引き合いに出される
「アップル」や「ナイキ」の話は、他で読んでもらうとして、

今出ている「BOND14号」に寄稿いただいた、
amadanaの熊本さんは、そのコラムで、

「空気感を感じ取る」と言っている。

iPhoneのカメラが超高性能になった今
インスタントカメラの「チェキ」が売れる。

スタバやコンビニで、簡単においしいコーヒーが飲めても
「ブルーボトルコーヒー」が話題になる。

熊本さんは、こういう例を出しながら、こう締めくくっている。

「テクノロジーの進化と、ヒトの心の進化は比例しない」


プレゼントでも、料理でも、
人は「手をかける」「手を加える」ということに「価値」を感じる。

そこに、価値を感じなくなることを、
「ヒトの心の進化」と見るとしても(そーとー寂しいけど)、
そうなるまでには、まだまだ時間がかかる気がする。

その
「変化に時間がかかる=ヒトの根っこの部分」を、素直に見つめてマーケットに向かい合うことを、熊本さんは、やってるんだなぁと感じた。


こういう文脈のヒット商品って、探せば沢山あると思う。

しかし、「アナログレコードプレーヤー」という「プラットフォーム」自体にノスタルジーがあり、しかも、カルチャーをけん引する「DJ」という人たちが、脈々と使っているという「かっこよさ」を内包し、しかもおびただしいソフト(LPレコード等)が、世の中に存在しているという有利かつ刺激的なモノ。

そこに「着火」するような「ムーブメント」

を起こそうとするところが、憎い!というか、amadanaの熊本さんらしいというか、そんな仕事がうらやましいです。


その熊本さんが、新卒で入った「TOSHIBA」が、5500億円の赤字を出し、7000人をリストラするというニュースが流れたのは、すごく皮肉でもあり、時代の流れを痛感した、この1週間でした。



さあ、「ボーダーラインレコード」に、LPレコードを見に行こうっと!笑


Amadana Music レコードプレーヤー
「SIBRECO」






cromagnon69 at 18:20|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
livedoor プロフィール

小柳 俊郎